GLOBALFOUNDRIESのCEO,Douglas Grose氏。来日して記者向けの事業戦略を説明した。
GLOBALFOUNDRIESのCEO,Douglas Grose氏。来日して記者向けの事業戦略を説明した。
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 「クロスライセンス契約に問題があるとは考えていない」---半導体ファウンドリー米GLOBALFOUNDRIES社のCEOであるDouglas Grose氏は,米Intel Corp.が米Advanced Micro Devices,Inc.(AMD社)に特許クロスライセンスの契約違反を通知したことに関して,契約違反ではないとの見解を示した。

 GLOBALFOUNDRIES社は,AMD社がアブダビ首長国の投資会社Advanced Technology Investment Co.(ATIC)と合弁で設立した半導ファウンドリー(関連記事)。Intel社は,GLOBALFOUNDRIES社がクロスライセンスの対象となるAMDの子会社に相当せず,ATICとの取り引きも未公開条件に違反したと主張している(関連記事)。これに対してGrose氏は,日本の報道機関向けの事業説明会で「クロスライセンス契約については,GLOBALFOUNDRIES設立時に多くの弁護士に相談した上で問題ないと判断した」と語った。「今後は予定通りに事業を進めていくだけ。Intelが訴えたのは(独禁法違反などの調査で)追い詰められた窮余の策ではないか」として,事業に影響はないとの姿勢をアピールした。

今が好機,市場はいずれ回復する


 現在の半導体不況下で新たなファウンドリーを立ち上げることに関しては,「現在は不況かもしれないが,それ以前は半導体製造産業は急成長していた。市場は強く,いずれ回復する。そのときに顧客の求める最先端技術に対応するには,今が立ち上げの好機」(Grose氏)と,市場の回復に備えた布石との見方を示した。加えて「45nm世代以降の技術に特化し,少数の顧客と密接な関係を築いて最先端の技術を提供していく」と台湾Taiwan Semiconductor Manufactoring Co.,Ltd.(TSMC)など幅広い製品を手掛ける半導体製造企業とは差別化を図っていくとしている。具体的には,SOI(silicon on insulator)技術を使った高性能品を製造するドイツ・ドレスデンの工場「Fab1」で,2010年前半をメドに高誘電率(high-k)ゲート絶縁膜とメタルゲートを使った製品の量産を開始する計画。また,2012年には,32nm世代以降の技術に対応した工場「Fab2」を,米ニューヨーク州サラトガ郡に設立する。加えて,新たな顧客も開拓する。現在は,ほとんどAMD社向けだけに製造しているが,今後新たな顧客を広げて最終的には50%程度はAMD社以外の製造にする考えだという。